千年前の君を想ふ
ーー数年前、敦政様には許嫁の方がおられました。
お2人はとても仲睦まじく、結婚も確実だろうと言われていました。
ですが……そのお相手の方に、別の男性が現れて……
その男性は、中御門家よりも位の高い家柄でしたので、お相手の方はすぐに敦政様から乗り換えられました。
(な、なにそれ……財産目当てだったってこと!?)
それからは、敦政様は女性の方に不信を抱かれるようになりました。
お見合いもせず、歌も詠まず、更には笑顔も見せられなくなりました。よほど元許嫁の方のことを愛しておられたのだと思います。
しかし、輝夜様がいらっしゃってからは、本当に雰囲気も、表情も明るくなられて……使用人一同が安堵しております。ーーーー