鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
営業事務が仕事出来ないと、他の社員さんたちは困ってしまうし、課長は監督不行き届きだと思って責任を感じてしまうかもしれない。
これはなんとしても早く治さなくては。
「すみません。それじゃ、行ってきます」
私はバッグを掴んで、急いで会社近くの眼科に向かった。
一時間半後、眼科で診察を受けて目薬を処方してもらい、会社に戻った。
「戻りました!あれっ?課長は外出ですか?」
営業1課には佐野さん以外誰も居なかった。
「森本くんから電話があってね、取引先でちょっと問題発生みたい」
「どこですか?」
「A社」
あちゃ~。
よりにもよって、A社とは。
佐野さんも同じことを思ったらしく、顔を見合わせてふたり同時に溜め息をついた。
A社のことはこれまで何度か納期の前倒しの依頼を受けたことがあったので、よく覚えている。
極力、取引先の希望に添えるように手配をするけれども、今A社から受注してもらっているものは海外製品。
海外から取り寄せる場合、税関手続きで数日かかることがあって、どうしても納期をすぐにとはいかない。
よしっ!
今私に出来ることをやりますか!
軽く伸びをして、気合いを入れて集中力を高めると、パソコンのキーボードをカタカタと打っていく。