鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
平常運転
「じゃあ、いってくる」
「いってらっしゃい」
新婚夫婦の会話?って突っ込みたくなる。
「また後でな」
孝太郎さんは私の頭を優しく撫でて、いってきますのキスをして、颯爽と出かけていった。
玄関でひとりニヤニヤしてしまう。
でも、のんびりもしていられない。
着替えて姿見で全身をチェックしてみる。
孝太郎さんが買ってくれた新しい洋服を着て、いつもとは違う通勤風景を眺めながら、会社に向かった。
孝太郎さんのマンションを出て30分ほど歩くと、いつものオフィス街が見えてきた。
「菜緒、おはよう」
後ろを振り返ると、園子が手を振りながらこちらに駆けてくる。
「ちょっと園子!走ったら危ないよ!」
慌てて園子に駆け寄った。
「ごめん」
「その調子だと、秘書室長も心配で仕方ないんだろうね」
「今日も一緒に行くってゴネてたんだけど、会議だからしぶしぶ先に行ったよ」
そういえば、孝太郎さんも朝イチで会議って言ってた。
「体調は大丈夫?」
「全然平気」
「走らないようにね。階段も気をつけーー」
気をつけてって言おうとしたところで、数人の女性社員に囲まれた。