鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)


でも、なにを言っているのか、すぐにわからない。

首を傾げると、課長はガックリしてもう一度口パクした。

よくよく目を凝らして解読する。

『し、ご、と、し、ろ』

あぁ!

仕事しろってことね。

はいはい、わかりました。

パソコンの電源を入れて起動するのを待ちながら、隣の佐野さんに尋ねた。

「佐野さん、冴木主任ってコーヒー嫌いでしたっけ?」

何度かコーヒーを飲む姿を見かけた気がするんだけど。

「菜緒ちゃんの彼氏って独占欲強い?」

彼氏!?

独占欲!?

「は!?えっ!?」

頭の中はパニック状態。

コーヒーの話はどこへ?

「独占欲強いに決まってますよ」

いつの間にか向かいに冴木主任が立っていた。

手にはブラックの缶コーヒー。

「冴木!早く報告書持ってこい!」

突然、課長の怒号がフロアに響いた。

「はいはい」

冴木主任は余裕の表情で手をヒラヒラ振りながらデスクに戻っていく。





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