鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
数分パソコンの画面を凝視しただけで、目が痛くなってくる。
こんな時についてない。
でも、もう少し…。
痛みを我慢して、キーボードを打っていると、横から佐野さんが画面を覗き込んできた。
「菜緒ちゃん、どう?」
「ビンゴです!」
佐野さんにピースサインして、電話の受話器を取った。
ツーコールで電話が繋がった。
『開発部、倉橋です』
受話器からは少し高めの女の子らしい声が聞こえてくる。
「営業1課、真宮です」
『なんだ、菜緒か~』
少し高めの女の子らしい声が、いつも聞き慣れた声に変わった。
なんだ、とはなにさ~。
余所行きの声を出しちゃってさ~。
心の中で少し毒突きながら、本題を切り出した。
「園子、ちょっと急ぎなんだけどーーー」
おおまかに説明しただけで、園子は『りょーかい』と言って電話を保留にした。
さすが、園子。
話が早い。
おそらく開発部の部長に確認してくれているはず…。
園子は私の同期で、見た目は可愛らしい女の子って感じだけど、頭の回転が早くてテキパキと仕事をこなせるキャリアウーマンタイプ。
同い年で同期だけど、仕事でもプライベートでも頼れる姉のような存在。
それを言ったら、園子は嫌な顔をするんだけど、やっぱり私にとっては頼れる大切な親友。