鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
どのくらいの時間、そうしていたんだろう。
もうすぐ12月になろうとしている季節とはいえ、食材を床に置いたままでいいワケがない。
名残惜しさを感じつつも、そっと身体を離した。
「孝太郎さん、食材を冷蔵庫に仕舞わないと」
「続きは後でな」
孝太郎さんはニヤリと不敵に笑うと、颯爽とリビングに入っていった。
孝太郎さんの言葉が耳に残り、しばらくぼーっとその場に立ち尽くしてしまった。
「菜緒、早く入れ」
遠くから呼ばれてハッと我に返り、急いでキッチンに向かった。
晩御飯の準備に取りかかっていると、部屋着に着替えた孝太郎さんがいつの間にかソファーに座って、こちらをじっと見ているのに気づいた。
「孝太郎さん?どうかしました?」
料理をしながらチラッと見ると、今度はダイニングチェアに座って、テーブルに頬杖をついて、こちらをじっと見ている。
徐々に近づいてきているような気がして、まるで、だるまさんが転んだ状態だった。