鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「ここで一緒に暮らさないか?」
あれ?
なんか今、すごい言葉が聞こえた気がしたけど、気のせい?
耳をダンボにして、もう一度訊いてみる。
「孝太郎さん、今なんて?」
「ここで一緒に暮らさないか?」
ここで?
一緒に?
暮らさないか?
「へっ!?」
声が裏返ったけど、そんなこと気にしてられない。
一緒に暮らすって、それってつまり…。
「同棲するか?」
ど、ど、同棲!?
「えっ!?誰と誰が!?」
「ここにいるのは俺と菜緒だけだろ」
孝太郎さんは肩を震わせながら大爆笑している。
私はご飯どころではなくなってしまった。
孝太郎さんと私が同棲…。
頭の中でその言葉を反芻してみても、胸がザワザワして落ち着かない。
「お茶っ!お茶飲みましょう!」
勢いよく立ち上がってキッチンに向かった。
こういう時、お酒が呑めたらいいんだろうけど、私はお酒が呑めない。
でも、私の身体はアルコールを摂取したみたいに熱くなっている。