鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
真宮家
「それで?同棲するの?しないの?」
「園子!もう少し声のボリューム下げてよ!」
「だから~、菜緒のほうが声大きいって」
ここはお昼休みの社員食堂。
一番奥の端の席に座っているとはいえ、誰に話を聞かれているかわかったものじゃない。
出来れば社外で話したい。
それでも、社員食堂で話す内容ではないとわかっていても、園子に一刻も早く相談したかった。
それに今週も仕事が忙しく、外食している暇はない。
身を乗り出して園子にヒソヒソと耳打ちする。
「同棲となると、引っ越しすることになるんだよね?」
「そりゃ当然でしょ」
園子は呆れた顔でパスタをフォークにくるくる巻きつけている。
「引っ越しとなると、会社に届けを出さなきゃいけないよね?」
「まぁ、私もいろいろ書類出したよ」
園子は結婚して名字も変わったし、住所も変わった。
秘書室長とのことが公になって一時期大変な思いをした。
会社に住所変更の届けを出して、住所が課長と同じだとバレてしまったら…。
そんなことを想像するだけで、気分は消沈してしまう。