鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
慌てる私を更に追い詰めるように、課長は私の腰に手を回して抱き締めてきた。
「いいから話を聞け。それとも口を塞ぐか?」
耳元で甘く囁かれて、思わず課長にしがみついてしまった。
今の状況って、非常にマズイんじゃないかな?
早く離れないといけないと頭ではわかっていても、身体が言うことをきかない。
でも、口を塞がれることは避けたい。
なんとか首を左右に振って抵抗を試みた。
それでも課長は私を離してはくれないようで、耳元で話し続ける。
「同棲の前に、きちんと菜緒のご両親に挨拶したい。今月、都合のいい日を訊いてみてくれ」
「へっ!?」
両親に挨拶って!?
驚きのあまり、大きな声を出してしまい、手で口を覆った。
課長はクククッと楽しそうに笑っている。
対照的に私の顔色は青ざめていく。
「今日必ず連絡しろよ」
う、嘘だよね!?
今日訊かなきゃいけないの?
しかも今月に挨拶?