鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
実家に帰ってきたのに、緊張感が半端ない。
手と足が同時に動きそうで、挙動不審になってしまう。
「なんで菜緒が緊張してるんだ?」
「だって…」
車を停めて、玄関前に立ち並んだ。
私は緊張感マックスでどうにかなりそう。
対照的に孝太郎さんは平然としていて、私を見てクククッと笑っている。
ピンポーン。
チャイムを鳴らして直ぐにパタパタと足音が聞こえてきた。
ガチャッと玄関の扉が開く。
「お帰り!早かったわね!」
笑顔満点のお母さんの姿に口をあんぐりと開けてしまった。
「た、ただいま。お母さん、その格好どうしたの?」
見慣れない余所行きの格好をしたお母さんの姿に驚いて、一瞬孝太郎さんが隣にいることを忘れてしまっていた。
「あら~、かっこいい人ね~」
お母さんの視界には孝太郎さんしか映っていないようだった。
「孝太郎さん、母です。お母さん、こちらが…」
「堂林孝太郎と申します。お忙しい中、お時間作っていただきましてありがとうございます」
「菜緒の母です。運転お疲れでしょう。どうぞ、中に入ってください。お父さん~!」