鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「はい。営業1課におります」
「失礼ですが、役職は?」
「課長です」
孝太郎さんの言葉に、お父さんは飲んでいたお茶をブハッと吹き出した。
「ちょっとお父さん!汚いわね~」
隣に座るお母さんが慌てて拭いている。
「その若さで課長!?すごいな…」
確かにお父さんが驚くのも無理はない。
ウチの会社で30歳前後の役職といえば、主任もしくは係長。
孝太郎さん以外の課長はみんな40代以上。
やっぱり孝太郎さんはエリートなんだと実感してしまう。
「しかもこんなイケメンで、仕事も出来て、言うことないじゃない?」
お母さんはニコニコ笑っている。
「まぁな、ウチの会社に引き抜きたいくらいだよ」
お父さんは人事部長という役職柄か、そういう目線で孝太郎さんを見ている。
「菜緒には勿体ないくらいよね」
お母さんに言われなくても、私が一番よくわかっている。
「いえ、私のほうが菜緒さんに惚れ込んでいます。結婚のことも考えておつき合いさせていただいておりますが、出来ましたら一緒に暮らすことをお許しいただきたく、今日お伺いしました」