鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
お父さんはソファーに深く座り直して、大きく深呼吸した。
「男が苦手な菜緒が結婚か…」
「お父さんと瑞樹が過保護すぎるからよ。中学から女子校なんだから、苦手にもなるわよ」
「堂林さん、私は一緒に暮らすことも結婚も反対はしません。どうか菜緒のこと、よろしくお願いします」
座ったまま頭を下げるお父さんを見て、涙が浮かんできた。
絶対反対されると思っていた。
「ありがとうございます」
「お父さん、ありがとう」
孝太郎さんは私の手をギュッと握ってくれる。
「瑞樹には話したのか?」
「………」
まだ、話していない。
もしかしたら、お父さんより難関かもしれない。
私は首を左右に振って否定した。
「あらやだ。お母さん、話しちゃったわよ」
「えっ!?なんで!?いつ!?」
慌てる私を見て、孝太郎さんは驚いている。
「菜緒から電話があった日に」
「嘘でしょ…」
幸せの絶頂から奈落の底に落ちた気分だ。
もう、お先真っ暗。