鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「私の兄もS病院で働いてます。外科医です」
「えっ!?」
孝太郎さんの言葉に、家族全員同時に声をあげた。
お兄ちゃんは視線を宙にさまよわせながら、ぶつぶつ呟いている。
「外科医…、堂林…、もしかして堂林純一郎先生の弟?」
「はい。堂林純一郎は私の兄です」
「えーっ!!」
お兄ちゃんはソファーから落ちそうになるくらい驚いている。
孝太郎さんのお兄さんもお医者さん?
しかも同じ病院で同じ外科医?
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「いや、全然大丈夫じゃない。堂林先生は俺の尊敬する先輩だぞ。まさか堂林先生の弟が菜緒と?イヤイヤイヤ、なにかの間違いだろ…」
「あら、世間って狭いのね」
お母さんは呑気に笑っている。
イヤイヤイヤ、狭すぎでしょう。
そんなビックリ仰天な話ってあるんだろうか。
「孝太郎さんの実家って病院なんですか?」
「いや、父は大学で宇宙の研究をしている。母は主婦。6歳離れた兄は医者だ」
さすが孝太郎さんの家族って感じがする。
宇宙の研究ってスケールが大きすぎる。