鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
窓の外を見れば、ちらほら雪が舞っている。
12月も年末が近づいて、営業は取引先の忘年会や挨拶回りで師走らしく一日があっという間に過ぎていく。
「今日も寒いと思ったら、雪舞ってるね」
佐野さんはコーヒーを飲みながら窓の外を眺めている。
「今年も残りわずかですね」
「社会人になると一年があっという間に過ぎていくよね」
いつの間にか冴木主任が会話に加わっている。
「冴木主任は今日は外回りないんですか?」
「今日はデスクワークしないと、課長に怒られる」
冴木主任のデスクは書類の山で埋め尽くされている。
とても一日で終わりそうにない仕事量に見えるけど、きっと冴木主任は終わらせるはず。
冴木主任は見た目軽くても、鬼課長が認めるくらい仕事は完璧にこなしていく。
「真宮さん」
名前を呼ばれて振り返ると、営業2課と3課の営業事務の女性社員たちが思い詰めた表情で立っている。
「どうしたんですか?」
近寄っていくと、ひとりの女性社員が口火をきった。
「その、噂で聞いたんだけど、堂林課長って結婚されるの?」
「………」
なにを言ってるのかわからず、固まってしまった。