鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
課長は朝から年末の挨拶回りで、夕方には戻ってくると思うけど、もしかしたら取引先に誘われて飲み会に参加するかもしれない。
電話かメールをして確認すれば済むことだと思うけど、仕事中の課長の邪魔はしたくない。
仕事に関することだったら直ぐに連絡を取るけど、これはあくまでもプライベートな話だから。
「園子、食べよう」
本当は食欲なんてないけど、ここで食べなければ園子に心配されてしまう。
それでもいつもの日替わりランチを食べきる自信はなくて、素うどんを注文した。
「さっさと食べて出ようか」
社員食堂のあちらこちらで盛り上がっているのは、課長の結婚の話題だった。
「常務の娘さんってどんな人?」
「どっかの会社の受付だっけ?」
「家事手伝いじゃないの?」
「やっぱりお見合いかな?」
「意外と恋愛結婚かもよ?」
聞きたくなくても、どうしても耳に入ってくる。
耳を塞ぎたい気分だけど、ここでそんなことは出来ない。
超高速で素うどんを食べて、営業部のフロアに戻った。