鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)


徒労に終わったけど、決して無駄なんかじゃないと思っている。

製品を調べることで少しは知識が広がるし、それに…。

「真宮」

「はい」

「ありがとう。あとはこっちで処理する」

「はい」

仕事の出来る鬼課長は、やっぱりよく見てる。

こういう時、必ず「ありがとう」と言ってくれる。

たった一言だけど、私の心はぽかぽかと温かくなる。

営業事務は電話応対、書類作成、受発注業務、売上管理、データ入力、出張手配等々、営業をサポートすることがメインの仕事。

表立つことが苦手な私にとって、この仕事はとってもやりがいがあって楽しい。

こうして感謝されると、ますますやる気が上がる。

自然とキーボードを打つスピードも速くなる。

集中して入力すること数分…。

目、痛い…。

涙が溜まって、視界がぼやけて、パソコンの画面がよく見えない。

「佐野さん、入力お願いしてもいいですか?」

「菜緒ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫です。資料室でファイル整理してきます」

大丈夫と言ったものの、これ以上パソコン使うのは辛い。

ちょうど資料室に片付けるファイルが溜まってるから持って行こう。

分厚いファイルを数冊積み上げて、ヨイショと持ち上げて資料室に向かった。







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