鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「常務に娘さんいないって、どういうこと!?」
「じゃあ、堂林課長の結婚の話って!?」
「ただのデマ!?」
「えーっ!!なにそれー!?」
もう営業部は仕事どころではなくなってしまった。
あちらこちらで課長の話題が飛び交っている。
私だって叫びたいくらいだ。
あの噂はなんだったんだろう。
「真宮さん、大丈夫?」
加治田くんは床に散らばった書類を集めて渡してくれた。
専務はすでに次の部署に向かったらしい。
「あ、ありがとう」
「常務には息子さんしかいないらしいよ。男ばっかり3兄弟だって」
「そうなんだ」
なんだか頭がぼーっとしてくる。
「そんなオチってある?」
佐野さんは楽しそうに笑っている。
常務に娘さんはいない…。
男ばっかり3兄弟…。
これはもう、笑うしかない。
なんだか気が緩んでしまった。
気を張っていた糸が切れて、佐野さんと一緒にお腹を抱えて笑った。