鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「菜緒は将来社長夫人になるかもね」
園子はニヤニヤしながら私と課長を交互に見る。
「社長夫人はわからないが、副社長夫人にはしてやるぞ」
真顔で言うから、冗談なのか冗談じゃないのか全くわからない。
「私はそれより課長が元気でいてくれたら、それだけでいいです」
情報システム部はハードな部署だと聞いたことがある。
私はただ課長の身体を心配しているだけなのに、園子はなぜか大爆笑している。
「全くお前は。こんな所でそんな可愛いこと言うな」
課長は箸を持ったまま、溜め息をついた。
「課長の身体を心配して、なにが悪いんですか?」
「あのなぁ」
私と課長の間に入ったのは園子だった。
「ふたりとも、家に帰ってからにしたらどうですか?注目の的になってますよ」
園子の言葉を聞いて、ふと周りに視線を向ければ、あちらこちらから見られていた。
恥ずかしすぎるし、居たたまれない。
それから俯いて、ただ黙って食べ進めた。