鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
引っ越しや孝太郎さんの異動もあるので、結婚を具体的に考えるのはもう少し先かと思っていたけど、孝太郎さんは直ぐにでも結婚したいらしい。
「孝太郎さん、結婚願望強かったんですか?」
「いや、今までは考えたこともなかった。菜緒と出会って結婚したいと初めて思った」
「そ、そうですか」
孝太郎さんは意図も簡単に私の顔を赤くしてしまう。
「これで菜緒に変な虫がつかなくて済むな」
変な虫って…。
孝太郎さんを相手に戦いを挑む人なんていないと思う。
そもそも私がモテるワケがない。
モテるのは孝太郎さんのほうだ。
「孝太郎さんにも変な虫がつかなくて済みます」
「俺に虫なんてつくワケがない。菜緒一筋に愛してるからな」
「はい…」
ほら、やっぱり意図も簡単に私の顔を赤くしてしまう。
きっと明日も明後日も、おそらく1年後も同じやり取りをしているに違いない。
いつも、いつまでも翻弄してくれる孝太郎さんの隣を私は歩き続ける。
攻防戦をし続けながら…。
【終】