鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「課長、ありがとうございました」
ぺこっとお辞儀をして、ファイルの整理にとりかかる。
資料室の棚はきちんと部類分けされていて、整理整頓しやすい。
山積みのファイルを片付けるのに、そんなに時間はかからないはず。
そう思いながら、一番上に置かれたファイルを手に取ろうとした時、「真宮」と名前を呼ばれた。
後ろをゆっくり振り返ると、課長が資料室のドアにもたれかかりながら、腕を組んで立っている。
課長、まだいたんですか?
てっきり戻ったんだと思ってたんだけど。
もしかして、なにか必要な資料でもあるのかな?
あれこれ考えていると、もう一度名前を呼ばれた。
「真宮」
「はい」
「付き合ってくれ」
「どこにですか?」
「……」
課長?
もしもーし?
あれっ?課長、フリーズしてる?
目が痛いから、ちょっとよく見えないんだよね。
課長のほうに近寄ろうと、一歩足を踏み出そうとしたら、「ぶはっ」と課長が吹き出した。
「あははっ!真宮、面白っ!」
鬼課長が…笑ってる。
あの鬼課長が…。
目の前の光景に、今度は私がフリーズした。