鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
その足で式場に向かい、孝太郎さんは新郎控室に、私は新婦控室に入った。
準備が整い、控室で両親や兄と過ごしていると、トントンとノックの音が響き、ドアが開くと、秘書室長と園子が入ってきた。
「園子!?」
「菜緒、おめでとう!」
園子は大きなお腹を擦りながら、その傍らにはフォーマルスーツ姿の秘書室長が優しく寄り添っている。
「どうしたの?」
秘書室長は出席だけど、臨月の園子は残念ながら出席出来ないってことだったのに。
「どうしても顔を見ておめでとうが言いたかったから、真人さんに無理言って連れてきてもらっちゃった。お母さんも一緒に来てるから、帰りは心配しないでね」
「園子、ありがとう!」
綺麗にメイクしてもらったから、涙は流さないように我慢しなくちゃいけないってわかってても、今日は朝から涙腺が緩みっぱなしだ。