鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
区役所に行く前に、孝太郎さんは家でもう一度プロポーズしてくれた。
しかもまるで王子様みたいに片膝をついて、大きな花束をプレゼントしてくれた。
私の涙腺はその時崩壊したみたいに、涙が止めどなく流れて大変だった。
区役所で婚姻届を提出した時も感動して泣いてしまった。
そしてついさっき、控室で両親と兄に会って、またしても泣いてしまい、メイクさんが慌てて直してくれたばかりだったのに。
「菜緒、今日はとびきりの笑顔で楽しんでね。一生に一度しかない結婚式なんだから、ね?」
瞼に溜まった涙をハンカチで軽く押さえた。
「園子、本当にありがとう!秘書室長もありがとうございます!」
とびきりの笑顔かどうかはわからないけど、心から笑って答えた。
「堂林より先に真宮さんのウェディングドレス姿を見てしまったな。後で堂林に怒鳴り散らされそうだ」
園子の隣で秘書室長は苦笑いを浮かべている。