鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「新婦さま、そろそろ挙式会場へ参りましょう」
係りの人に声をかけられ、ゆっくりとした足取りで控室を後にした。
厳かな音楽が流れる中、チャペルの大きな扉が開き、お父さんと一緒にバージンロードを歩く。
家族、親族、友だち、会社の人など、たくさんの人たちに見守られながら。
その先に、優しい表情でこちらを向いて立っている私の最愛の人である孝太郎さんの姿が目に映る。
イケメンはなにを着てもイケメンだけど、タキシード姿の孝太郎さんはブライダル雑誌のモデルかと思ってしまうくらいに、群を抜いてカッコいい。
思わず見惚れていると視線が重なり、耳元で「菜緒、綺麗だ」と囁かれてしまい、私の頬はみるみるうちに赤く染まってしまった。
ここでも私は孝太郎さんに翻弄されっぱなし。
ドキドキしながらも、無事に誓いの言葉を交わした。
「それでは誓いのキスを」
孝太郎さんは一瞬不敵にニヤリと笑い、私にキスを落とした。
んんっ!?
なんか、長くない!?
誓いのキスって一瞬触れるくらいじゃなかったっけ?