鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
日は落ちて外はすっかり暗くなっている。
何事かと思ってもいたら、大きな音とともに空に無数の輝く光が散らばった。
「花火…」
まさか花火を打ち上げてくれるなんて、想像もしていなかった。
「驚いたか?」
隣を見上げると、悪戯が成功したと言わんばかりの少年のような表情をした孝太郎さんと視線が交わった。
「孝太郎さん、ありがとうございます」
鬼課長でもある孝太郎さんがサプライズしてくれるなんて、思ってもみなかった。
「これだけじゃないぞ」
私の耳元で囁くと、マイクを持って立ち上がった。
係りの人に促されて、私もゆっくりと席を立った。
「本日は私たちのために結婚式にご出席くださり、誠にありがとうございます」
孝太郎さんが頭を下げたので、私も慌ててお辞儀した。
一体なにが始まるのかと、ドキドキと胸が高鳴る。
会場中シーンと静まり返って、孝太郎さんに視線が集まる。