鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
時刻は午前8時。
エレベーターを降りて、右側に会議室、給湯室、休憩スペース、トイレのある廊下を歩いた先に、営業部営業1課から3課のフロアがドーンと広がっている。
私、真宮菜緒(まみや なお)は営業1課の営業事務として働く社会人2年目の24歳。
エレベーターを降りて、廊下を少し歩いただけで、課長の怒声が聞こえてくる。
入社してしばらくはビクビクしていた私も、今ではすっかり慣れたもの。
軽く深呼吸をしてフロアに足を踏み入れる。
「おはようございます!」
笑顔で元気いっぱいに。
「課長、おはようございます!」
「…おはよう」
課長はどんなに怒っていても、機嫌がすこぶる悪くても、朝の挨拶は必ず返してくれる。