鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
案内された部屋は、お店の一番奥の個室だった。
テーブルの上にはふたり分の豪華な和食料理が並んでいる。
すっごく美味しそう。
それにどの料理も手が込んでそう。
ふたり分ってことは、課長と私…だよね?
目の前にドカッと座った課長とテーブルの上の料理を交互に見ながら訊いてみた。
「あの、今日って接待…ではないですよね?」
「はあ?」
怪訝な顔を向けられて、身体がビクッとなった。
接待…ではなさそう。
ってことは、異動なの!?それともクビ!?
入社2年目で、まだまだ慣れてないし、ミスだってあるけど、営業1課の仕事、楽しいんだけどな。
人にも恵まれてて、まだこれからってところなんだけど、異動なのかな?
それとも早期退職迫られるとか!?
ウチの会社、年々業績上げてるし、営業1課も売上成績良いと思ってたんだけど、違ったのかな?
また就職活動しなきゃいけないなんて、辛すぎる。
はぁ、今すぐ帰りたい…。
でも、せっかく課長が連れてきてくれたんだ。
怖いけど、しっかり話を聞こう。
覚悟を決めて、姿勢を正した。
「あの、私、異動…ですか?」
「はあ?さっきから、接待とか異動とか、なんの話だ?」
「へっ?」
思わず変な声が出てしまった。
私が課長に晩飯に付き合ってくれと言われた理由…。
接待でも、異動の話でも、ないんですか?