鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)


ワケがわからない。

じゃあ、どうして課長とふたりで晩御飯を食べることになっているの?

今のこの状況ってなに?

頭の中真っ白で慌てている私とは対照的に、課長は至って平静で、飲み物のメニューを私の目の前に広げて見せてくれた。

「真宮、なにか飲むか?」

「いえ、私、アルコール呑めません」

思考回路が停止した私は、なぜか正直に答えてしまった。

「営業部の飲み会で呑んでただろ」

しまった。

目が痛いからとか、適当に理由を言えば良かったのに。

あ~!なんでバカ正直に答えちゃうかな、私。

課長の目を見ると、嘘つけないよ。

「あれは、こっそりジュースとか、ウーロン茶にかえて飲んでました…」

「同期会でもか?」

同期会という言葉に、顔を俯けてしまった。

「はい。同期会は1回しか行ったことありませんけど」

「なにかあったか?」

顔を上げると、課長と目が合った。

課長はどうしてわかるんだろう。

なにかあったか、なんて。

課長に真剣な眼差しを向けられると、まるで催眠術にかかったような気分になって、嘘はつけない。

話してしまってもいいのかな?

う~ん、やっぱり躊躇してしまう…。

どうしよう…。






< 23 / 176 >

この作品をシェア

pagetop