鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
ワケがわからない。
じゃあ、どうして課長とふたりで晩御飯を食べることになっているの?
今のこの状況ってなに?
頭の中真っ白で慌てている私とは対照的に、課長は至って平静で、飲み物のメニューを私の目の前に広げて見せてくれた。
「真宮、なにか飲むか?」
「いえ、私、アルコール呑めません」
思考回路が停止した私は、なぜか正直に答えてしまった。
「営業部の飲み会で呑んでただろ」
しまった。
目が痛いからとか、適当に理由を言えば良かったのに。
あ~!なんでバカ正直に答えちゃうかな、私。
課長の目を見ると、嘘つけないよ。
「あれは、こっそりジュースとか、ウーロン茶にかえて飲んでました…」
「同期会でもか?」
同期会という言葉に、顔を俯けてしまった。
「はい。同期会は1回しか行ったことありませんけど」
「なにかあったか?」
顔を上げると、課長と目が合った。
課長はどうしてわかるんだろう。
なにかあったか、なんて。
課長に真剣な眼差しを向けられると、まるで催眠術にかかったような気分になって、嘘はつけない。
話してしまってもいいのかな?
う~ん、やっぱり躊躇してしまう…。
どうしよう…。