鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
課長はさっきから黙ったまま、真っ直ぐ私を見ている。
目の前に座ってるのは、本当に鬼課長?
とても同一人物とは思えないんだけど…。
穏やかな雰囲気で、優しい眼差しで…。
その表情、反則ですよっ!
そんなにずっと見つめられると、困ります…。
なんだか顔が熱い気がする。
頬を触ると、やっぱり熱い。
これ、絶対顔が赤くなってるよね…。
恥ずかしい。
私、ひとりで赤面して、なにしてるんだろう。
もう、さっさと話してしまおう。
この状況に耐えられなくなった私はポツリポツリと話した。
「広報部の加治田くん…、同期なんですけど、初めて同期会に参加した時、席が隣で…」
その時のことが頭に浮かんで、私はぎゅっと目を瞑った。
「アルコール呑めないこと、ちゃんとみんなに話してたんです。でも加治田くん、無理矢理お酒を勧めてきて…。それでも断りました。そしたら今度は肩を触られて…」
同期会って言葉を聞くと、どうしてもその時の光景が走馬灯のように頭に浮かんでくる。
思い出したくないのに…。
早く忘れたいのに…。
「加治田くん、だいぶお酒呑んでたんで無意識なのかもしれません。でも、私は怖くて…。それ以来同期会には行ってません」