鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
ごくごく平凡なOLというのが私にぴったり似合う言葉だと思う。
「う~ん」と唸りながら、目を瞑って考え込んでいた私は、隣に気配を感じて、ハッと目を見開いた。
またしても至近距離に端正な顔立ちの課長がいて、驚きのあまり、仰け反ってしまった。
気づけば、私の後頭部は課長の大きな手で支えられて、更に距離が縮まっていた。
ち、近いっ!
しかも、この体勢はなに!?
心拍急上昇で、本当に心臓壊れそうなんですけど!
あたふたと焦っている私を見ながら、課長はまたしてもとんでもない言葉を発した。
「ひとめぼれだ」
「へっ?」
変な声が出ちゃったよ!
恥ずかしい…。
っていうか、ひとめぼれってなに?
急になんの話?
「お米…」
「んなワケあるか」
ですよね~。
この状況で、お米の種類の話なんて、しないですよね~。
課長にツッコミされて、なんか新鮮~。
なんて、思ってる場合じゃなかった。
ひとめぼれって、一目惚れのことだよね?
「あの、誰が?」
「俺が」
「誰に?」
「真宮に」
「一目惚れ?」
「そうだ」
間髪入れずに、なんの躊躇いもなく答える課長の姿に、私の心はぎゅっと鷲掴みされてしまった。