鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
あれ?
もしかして、さっき私が考え込んでいたことって、口に出してしまってた?
聞かれちゃった?
それで、一目惚れって…。
「課長!なんの冗談…、からかってるんですか?さっきも言いましたけど、誰かと付き合ったこともないんですよ、私!私なんかを一目惚れって、もうワケがわかりません!」
恥ずかしさのあまり、顔を両手で覆った。
お酒は一滴も呑んでないのに、私の顔は真っ赤になってるに違いない。
頬が熱い。
課長は飽きもせず、私の頭をポンポン撫でている。
「真宮」
「はい」
「私なんかって言うな。俺にとって、真宮は十分魅力的だ。俺は上司だし、真宮は部下だし、と思って気持ちを隠してきたが、やめた。これからは本気でいく」
課長は嘘は言わない。
大小に関わらず、全力で仕事をこなして、周りから難しいだろうと言われた案件にも、決して手は抜かない。
そして、最終的には手中に納めてしまう。
内面は想像以上に優しくて、甘くて、温かい人。
課長に触れられるのは嫌じゃない。
幸せな気持ちになって、心がぽかぽか温まる。
私はゆっくり顔から両手を離した。
ほら、やっぱり。
仕事では鬼課長なのに、今私を見つめる眼差しは、とっても優しい。