鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「で、どうなりました?」
俺に平然とそんなことを言ってくるヤツは、営業部の中で冴木しかいないと思う。
冴木の首根っこを捕まえて、ズルズルと会議室に押し込んだ。
どうせ、これから海外の取引先とネット会議だ。
始まるまで時間はたっぷりある。
「その前に説明しろっ!」
しっかり防音対策された会議室の中の声は、外に漏れることはない。
俺は椅子を引いてドカッと座り、腕と脚を組んだ。
納得のいくように、説明してもらおうじゃないか。
冴木も近くの椅子を引いて座りながら、後頭部をポリポリ掻いていた。
仮にも上司の前で余裕の表情だ。
冴木は仕事は出来るのに、こういうことにはチャラ過ぎる。
厳しい俺とチャラい冴木。
営業1課がまとまってるのは、コイツのおかげかもしれない。
「いや~、なにから説明を?」
「真宮は見合いなんて話、知らないと言ってたぞ」
「でも俺は佐野さんから訊いたんですけどね~」
やっぱりかっ!
佐野さんもグルだったのか。
そうだろうとは思っていたが。
「で、どうなりました?」
身を乗り出して目を輝かせている冴木を見て、大きなため息をついた。
「お前はなんでそんなにチャラいんだよっ!」
「俺のことはほっといてください。まぁ、課長みたいに運命の女の子が現れれば、俺も180度変わるかもしれないですけど~」