鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
でも元々は常に営業成績トップだったらしく、人当たりも良くて、お客様からの信頼は厚い。
ただ社内では滅多に笑った顔は見せず、毎日部下を厳しく叱り飛ばしている。
それでもいつも的確な指示を飛ばし、フォローも欠かさないから、どんなに厳しくても、みんな課長を信頼し、尊敬している。
もちろん私もそのひとり。
今日も課長すごいな~。
なんて思っていたら、課長と目が合った。
私はニコッと笑ってみるけど、すぐに目は逸らされた。
う~ん、課長を笑わせることって難しいみたい。
そんなことを考えていると、もうひとりの営業事務の佐野さんが出勤してきた。
「菜緒ちゃん、おはよう」
「佐野さん、おはようございます」
佐野さんは40代半ばのベテラン営業事務。
小学生のお子さんを育てるママさんで、勤務時間の短いパートとして働いている。
私のことを菜緒ちゃんと呼んで可愛がってくれて、私も佐野さんのことを年の離れた姉のように慕っている。