鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「森本!B社の書類早く持って来い!」
「は、はいっ!」
「横山!数値ずれてるぞ!30分以内でやり直せ!」
「申し訳ありません!」
昨日の甘い甘い課長はどこへ行ったんだろう。
やっぱり夢だった?
そう思ってしまうほど、鬼課長は今日も健在。
でも、これが日常茶飯事。
さてと、私も気合い入れて頑張ろう!
「おはようございます!」
社会人たるもの、挨拶は大事。
「課長、おはようございます!」
「…おはよう」
よしっ!いつも通り顔を見て挨拶出来た!
ごちゃごちゃ悩んでたのがバカみたい。
課長もいつも通りだし。
とにかく、ここは仕事をするところ。
ミスして足手まといにならないように、今まで以上に集中して頑張ろう。
パソコンを立ち上げ、パスワードを入力していると、肩を軽くトントンとつつかれた。
「菜緒ちゃん、おはよう」
「佐野さん、おはようございます」
佐野さんに挨拶して、パソコンの画面に視線を戻すけれど、なぜか佐野さんは黙ったまま私を見ている。