鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「菜緒ちゃん、大丈夫?」
「真宮さん、大丈夫?」
佐野さんと冴木主任の声にハッと我に返った。
「すみません。ぼーっとしてました」
再びパソコンに向かい、データ入力をしようと思ったところで課長に呼ばれた。
「真宮」
「はい」
「9時に会議室」
「はい」
「冴木も」
課長は「広報部に行ってくる」と言い残して、颯爽とフロアを出ていった。
「9時に会議室ってなんでしょうか?」
冴木主任に尋ねてみても、うーん?と微妙な表情でデスクに戻ってしまった。
冴木主任もってことは、仕事の話だと思うんだけど、わざわざ会議室でってなんでだろう。
不安に思いながらも、少しでも仕事を進めようとデータ入力を始めた。
珍しく電話が鳴ることもなく、集中してパソコンにかじりついていた。
「真宮」
名前を呼ばれて隣を見上げると、いつの間に戻って来たのか、課長が立っていた。
「時間だ。行くぞ」
私の頭をポンポンと撫でて、会議室に向かっていく課長を慌てて追いかけた。