鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
会議室に入ると、冴木主任もすぐにやって来た。
「課長~、なんかスゴい変わり様ですね」
「なにがだよ?」
「あ~、今頃営業部のフロア大騒ぎになってるんじゃないですか?」
「なんで?」
「もしかして周り見えてないんですか?」
「俺を誰だと思ってるんだよ」
「いや、そういうことじゃなくて…」
課長と冴木主任は、やいのやいのと言い合っている。
仲が良いのか悪いのかわからないけれど、ふたりのやり取りはなぜか楽しい。
真逆のふたりだけど、いいコンビだな~なんてほっこりしながら眺めていると、コンコンとノックの音がした。
会議室のドアが開いて、入ってくる人物を見て身体が固まった。
見間違いだろうか。
いや、見間違いであってほしい。
同期の加治田くんが目の前で礼儀正しくお辞儀している。
あまりにも突然のことに、頭が働かない。
ただ必死に立ち尽くしている私に、衝撃的な言葉が聞こえた。
「来週からお世話になります」
どういうこと?
加治田くんは確か広報部だったはず。
営業部と直接関わるようなことって言ったら、社内報だろうか。
でも営業部は先々月の社内報に掲載されたばかり。
なにか別の仕事?
頭の中パニック寸前の私に、またしても衝撃的な言葉が聞こえた。