鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
仕事で関わることもなければ、話したこともないけれど、私でも知っているくらいの人物。
「ひ、ひ、秘書室長!?」
園子の旦那様がまさかの秘書室長!?
秘書室長の近藤真人(こんどうまさと)といえば、社長直轄の秘書室のトップで、堅物の眼鏡男子尚且つ堂林課長と並ぶイケメンエリートとして、女性社員の注目を集める有名人。
なにがなんだか、もうワケがわからない。
驚きすぎて椅子からずり落ちそうになった。
危ない!と思った瞬間、大きな手で腰をギュッと支えられた。
「真宮、大丈夫か?」
聞き覚えのある声に恐る恐る隣を見上げると、これまた驚きの人物が立っている。
「か、か、課長!?」
課長は私の隣にドカッと座った。
「菜緒、やっぱり堂林課長だと平気なんだね~」
園子はニヤニヤと笑っている。
確かに課長だと平気だけど、今はそれどころじゃない。
さっきから社員食堂のあちこちでキャーキャーと大騒ぎになっている。
それもそのはず、滅多に社員食堂に現れないふたりのせいだ。
そのイケメンエリートふたりに挟まれた私たち。
美人の園子はなんの違和感もないけれど、私は動揺しまくりで身を小さくするほかない。