鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)


仕事で関わることもなければ、話したこともないけれど、私でも知っているくらいの人物。

「ひ、ひ、秘書室長!?」

園子の旦那様がまさかの秘書室長!?

秘書室長の近藤真人(こんどうまさと)といえば、社長直轄の秘書室のトップで、堅物の眼鏡男子尚且つ堂林課長と並ぶイケメンエリートとして、女性社員の注目を集める有名人。

なにがなんだか、もうワケがわからない。

驚きすぎて椅子からずり落ちそうになった。

危ない!と思った瞬間、大きな手で腰をギュッと支えられた。

「真宮、大丈夫か?」

聞き覚えのある声に恐る恐る隣を見上げると、これまた驚きの人物が立っている。

「か、か、課長!?」

課長は私の隣にドカッと座った。

「菜緒、やっぱり堂林課長だと平気なんだね~」

園子はニヤニヤと笑っている。

確かに課長だと平気だけど、今はそれどころじゃない。

さっきから社員食堂のあちこちでキャーキャーと大騒ぎになっている。

それもそのはず、滅多に社員食堂に現れないふたりのせいだ。

そのイケメンエリートふたりに挟まれた私たち。

美人の園子はなんの違和感もないけれど、私は動揺しまくりで身を小さくするほかない。
< 55 / 176 >

この作品をシェア

pagetop