鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
私は俯きながら消え入るような声で課長に訊いた。
「課長、どうしてここに?」
「コイツに呼び出された」
課長は親指で秘書室長を指差した。
しかも秘書室長をコイツ呼ばわりしている。
秘書室長は園子を愛しそうに見てから、課長と私それぞれに白い封書を手渡した。
「結婚の報告をしようと思って呼び出したんだ。それは結婚式の招待状だ」
受け取った封書には達筆な手書きでフルネームが書かれている。
「園子に聞きたいこと山ほどあるんだけど、ここだとゆっくり話せないから場所変えない?」
さっきから周りが気になって落ち着かない。
背中に突き刺さるようないくつもの視線を感じる。
とにかく一刻も早く社員食堂から移動したい。
「じゃあ、夜に杉菜に4人で集まりましょ!」
4人!?
園子とふたりでいいんだけど、なんで4人!?
唖然としている私をよそに、園子は秘書室長に予約を取るように言っている。
「俺は先に戻る。真宮はゆっくり食べてから戻れ」
課長は颯爽と社員食堂を出ていった。
時計を見れば、あと5分でお昼休みが終わるところだった。
午後イチで納期の確認をすることになっていた私は、大好物のハンバーグを掻き込んで、大慌てで社員食堂を飛び出した。