鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
カウンターに座って頬杖をついている課長と目が合った。
外で会う課長は色気が駄々漏れてる気がする。
そんな課長から一時たりとも目が離せない。
周りの人たちも、さっきからチラチラと課長を見ては、「イケメン!」「カッコいい!」「モデルかな?」とヒソヒソ話している。
課長は周りの視線に気づいていないのか、真っ直ぐ私を見ている。
この胸のドキドキは急いで歩いたせいか、それとも課長のせいか…。
「お待たせしてしまってすみません!」
駆け寄ると、座ったままの課長は私の頭をポンポンと優しく撫でた。
「お疲れ。大丈夫か?」
優しい眼差しに、心の底から心配してくれていることが伝わってくる。
会社では絶対見せない課長の顔に見惚れてしまい、すぐに返事が出来なかった。
「真宮?……菜緒?」
えっ?
今、菜緒って呼んだ?
初めて課長に名前を呼ばれて、顔が赤くなっているのは間違いない。
くすぐったくて恥ずかしいはずなのに、それでいてとても幸せな気持ちに酔いしれてしまいそう。
ただ名前を呼ばれただけ。
でも恋愛初心者の私にとっては、破壊力抜群の出来事。