鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)


カウンターに座って頬杖をついている課長と目が合った。

外で会う課長は色気が駄々漏れてる気がする。

そんな課長から一時たりとも目が離せない。

周りの人たちも、さっきからチラチラと課長を見ては、「イケメン!」「カッコいい!」「モデルかな?」とヒソヒソ話している。

課長は周りの視線に気づいていないのか、真っ直ぐ私を見ている。

この胸のドキドキは急いで歩いたせいか、それとも課長のせいか…。

「お待たせしてしまってすみません!」

駆け寄ると、座ったままの課長は私の頭をポンポンと優しく撫でた。

「お疲れ。大丈夫か?」

優しい眼差しに、心の底から心配してくれていることが伝わってくる。

会社では絶対見せない課長の顔に見惚れてしまい、すぐに返事が出来なかった。

「真宮?……菜緒?」

えっ?

今、菜緒って呼んだ?

初めて課長に名前を呼ばれて、顔が赤くなっているのは間違いない。

くすぐったくて恥ずかしいはずなのに、それでいてとても幸せな気持ちに酔いしれてしまいそう。

ただ名前を呼ばれただけ。

でも恋愛初心者の私にとっては、破壊力抜群の出来事。



< 58 / 176 >

この作品をシェア

pagetop