鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「ひとりで抱え込むな。俺が傍にいる」
「ありがとうございます」
涙を拭って笑って答えると、課長はもう一度ギュッと抱きしめてくれた。
このまま時が止まってしまえばいいのに。
目を閉じて幸せに浸っていると、急に声をかけられた。
「そろそろ入ってもいいですか~?」
えっ?
顔を上げると、個室の扉の前に秘書室長と園子が並んで立っている。
もしかして、見られた!?
「堂林ってそんなキャラだったっけ?」
秘書室長はニヤリと笑って課長の向かいに座った。
イヤイヤイヤ、それよりも秘書室長こそ、そんなキャラだったんですかって言いたい。
堅物で無駄なお喋りは一切しないはずじゃなかったの?
「はぁ!?」
課長は不機嫌な表情で秘書室長を睨んでいる。
さっきまでの甘い空気はどこへやら、一転して鬼課長になってしまった。
そういえば、社員食堂でも思ったけど、ふたりって…?
「あの、課長と秘書室長って…?」
「ふたりは同期なのよ」
間髪入れず、園子が答えた。
「へぇ~、すごい」
純粋にすごいと思った。
類は友を呼ぶとは、まさにこういうことを言うんだろう。
社内で有名なイケメンエリートふたりが同期だなんて、本当にすごい。