鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
園子は秘書室長との出会いから今までのことをポツリポツリと話し始めた。
酔って一夜を共に過ごし、秘書室長の猛アピールに園子が折れることなく、しばらくして妊娠に気づき、悩んで悩み抜いてお互いの気持ちを確認して、結婚に至ったってことだった。
恋愛初心者の私にとっては、まるで漫画かドラマのような話だった。
「社内恋愛はメリットもあればデメリットもある。ましてや、この人は立場が立場だから、菜緒にも相談出来なかったの。ごめんね」
「謝ることなんてないよ。園子が幸せならそれでいいよ。秘書室長、園子のこと必ず幸せにしてあげてください」
「ありがとう」
想像以上に秘書室長という立場は大変なのかもしれない。
園子がどのくらい辛くて苦しい想いをしたのかと思ったら、なぜだか目頭が熱くなった。
でも、きっかけはどうあれ、目の前のふたりはとても幸せそうで、私まで幸せを貰った気分になった。
「他人事みたいに想ってないか?」
「いたっ!なにするんですか!」
いきなり課長にデコピンされ、僅かに痛みを感じたおでこを手で擦った。