鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「はい!」
私は満面の笑みを浮かべて、大きな声で返事をした。
課長と一緒にいられて幸せ。
ホッとするし、心強い。
なにより、好きな人に好きと言ってもらえることが、この上なく嬉しい。
思わず顔がにやけてしまう。
向かいに座っている園子は煮物をパクパク食べている。
秘書室長の料理にも箸を延ばして食べている。
そんな園子を秘書室長は優しい眼差しで見つめている。
悪阻が全くないらしく、食欲旺盛な妊婦なんだと豪語していた。
そういえば、今年出産した大学時代の友達は悪阻が酷く、入院して大変だったとメールで教えてくれていたことを思い出した。
私にはまだまだ縁遠い話だなぁと思っていると、園子が箸を止めてポツリと呟いた。
「菜緒は恋愛初心者だし、男を知らないからね~」
途端、課長と秘書室長が飲んでいたウーロン茶を同時にプーッと吹き出した。
「大丈夫ですか?」
急いでおしぼりを渡し、バッグからハンカチとティッシュを取り出した。
見た感じ、スーツは濡れてなさそうでホッとした。
料理も食べ終えていたので、大惨事にはならなかった。