鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「園子、なに言い出すんだ。真宮さん、ごめんな」
なぜか、秘書室長は申し訳なさそうに私に謝っている。
どうして謝っているんだろう?
「だって、本当のことだし」
園子はブツブツ呟いている。
課長は片手で顔を押さえて俯いている。
私が恋愛初心者なのは、まぎれもない事実。
園子に同意と言わんばかりに、ウンウンと頷いた。
…あれ?
恋愛初心者の後に、園子、なんて言った?
必死に園子の言葉を思い出す。
男を知らない…。
…んんっ!?
ようやく意味を理解して、赤面した顔を隠すように俯いた。
は、恥ずかしい!
園子、なに言ってくれてるの!?
しかも課長と秘書室長の前で!!
穴があったら速攻で入りたい。
この場から消え去りたい。
「そろそろ帰るか。俺たち先に出るな」
顔を上げると、秘書室長は伝票を持って立ち上がり、園子に手を差し出していた。
課長も顔を上げると、秘書室長の手から伝票を奪い取っていた。