鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
甘い週末
えぇ~っと、どうして私はここにいるんでしょうか?
手に持たされたコーヒーの湯気をぼーっと眺めながら、そんな自問自答をしてみる。
一時間前くらいに杉菜を出て、課長に押し込まれるようにタクシーに乗せられた。
てっきり私の家まで送ってくれるものと思っていたら、課長は「ーーータワーレジデンスまで」って、よく聞き取れなかったけど、どこかの場所を告げていた。
どこに行くのか訊きたいのに、なぜか言葉が出てこなくて大人しく座っていた。
タクシーの中ではずっと手を繋がれたまま。
私の手、汗ばんでないかな?
どこに向かっているんだろう?
窓の外の景色を眺めながら、そのことばかり気にしていたけど、10分ほどで目的地に到着。
タクシーを降りた場所の前には大きな建物。
会社のビルよりも大きそう、なんて思いながら建物を見上げたり、周りをキョロキョロ見回したりしていた。
「俺の家」
「…えっ!?」