鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
デコピンされたおでこが地味に痛い。
相手が課長、しかも鬼課長に対して、少しムッとした表情で睨んでしまった。
「そんな顔しても怖くない。全くお前は可愛いな」
サラッと甘い言葉を言ってのける課長って何者?
瞬時に赤くなってしまうのは私の顔。
「ちょくちょくここに来るんで、よろしくお願いします」
課長は私の後頭部に手を置いて、半ば無理矢理ぺこりとお辞儀させた。
私、ちょくちょくここに来るんですか?
お使いとか?
コンシェルジュの榊さんは一瞬驚いた表情になって、すぐにニコニコと笑った。
それからエレベーターに乗って連れてこられた場所は、玄関からしてゴージャスな課長の家。
一歩足を踏み入れて、モデルハウスなんじゃないかと思ってしまうくらいに、全てがキラキラピカピカしている。
「課長って何者なんですか?」
また思ったまま訊いてみた。
「は?何者でもないけど」
イヤイヤイヤ、絶対一般ピープルじゃないです。