鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「ここって賃貸ですか?」
「いや、分譲」
ほら、やっぱり一般ピープルじゃないです。
もう開いた口が塞がらない。
「間抜けな顔になってるぞ」
肩を振るわせながら、キッチンに入っていく課長。
間抜けな顔って。
「驚きすぎて、こんな顔になってるんです!」
「そうか。適当に座ってろ」
課長はまだクククッと笑いながら、キッチンでなにやらカチャカチャしている。
会社ではほとんど笑ったところなんて見せないのに、私に対してはよく笑っている気がする。
しかもすごく甘い。
でも、この甘い顔は私にだけしか見せてほしくないって思ってしまう。
「コーヒー」
「えっ!?」
目の前のテーブルの上に香りのいいコーヒーが置かれた。
「飲むだろ?」
「課長が淹れてくれたんですか!?」
あの鬼課長が?
私にコーヒーを?
「俺だってコーヒーくらい淹れる。料理だってする。一体なんだと思ってるんだよ」