鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)


「風呂から出たらソファーで寝てたから運んだ」

「すみません…」

本当に申し訳ない。

先に寝てしまうなんて。

しかも、重いのに運んでくれたんだ。

「昨日はいろいろあって疲れただろ。よく寝れたか?」

「はい」

なんでもお見通し。

孝太郎さんの優しい言葉に目頭が熱くなる。

「なんで泣きそうな顔してるんだ?」

「だって、幸せで…」

幸せで泣きそうになることってあるんだ。

「あのなぁ、この状況でそういう可愛いことを言うな」

孝太郎さんは私のおでこ、頬、最後に唇にキスをした。

朝から甘い。

顔が赤くなってしまう。

「止まらなくなるな。俺は朝飯を作る。出来たら呼ぶから」

Tシャツにスウェット姿で颯爽と寝室を出ていった。

考えてみれば、スーツ姿しか見たことがなかった。

ラフな姿もカッコいい。

どうしたって顔がにやけてしまう。

ひとり悶絶しそうになりながら、スマホで時間を確認すると、すでに9時を過ぎていた。

急いで起き上がり、キッチンへ向かった。









< 82 / 176 >

この作品をシェア

pagetop