鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「風呂から出たらソファーで寝てたから運んだ」
「すみません…」
本当に申し訳ない。
先に寝てしまうなんて。
しかも、重いのに運んでくれたんだ。
「昨日はいろいろあって疲れただろ。よく寝れたか?」
「はい」
なんでもお見通し。
孝太郎さんの優しい言葉に目頭が熱くなる。
「なんで泣きそうな顔してるんだ?」
「だって、幸せで…」
幸せで泣きそうになることってあるんだ。
「あのなぁ、この状況でそういう可愛いことを言うな」
孝太郎さんは私のおでこ、頬、最後に唇にキスをした。
朝から甘い。
顔が赤くなってしまう。
「止まらなくなるな。俺は朝飯を作る。出来たら呼ぶから」
Tシャツにスウェット姿で颯爽と寝室を出ていった。
考えてみれば、スーツ姿しか見たことがなかった。
ラフな姿もカッコいい。
どうしたって顔がにやけてしまう。
ひとり悶絶しそうになりながら、スマホで時間を確認すると、すでに9時を過ぎていた。
急いで起き上がり、キッチンへ向かった。