鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「あの…」
正直に言ってしまおう。
そう思ったのに…。
「よく似合ってるな」
極上の笑顔を向けられ固まってしまった。
顔が熱い。
胸のドキドキが止まらない。
すっかり孝太郎さんに翻弄されっぱなし。
「あの、えっと、その…」
上手く言葉が出てこない。
「なに挙動不審になってるんだよ」
クククッと笑われてしまった。
挙動不審にもなるでしょう!
孝太郎さん、自分の魅力に気づいてないんですか!?
どれだけ私を溺れさせるつもりなんですか!?
言いたいことは山ほどあるのに、ひとつも口に出せない。
「お客様、よくお似合いです。こちらのパンプスを履いてみてください」
店員さんに言われるがまま、パンプスを履いて鏡の前に立ってみる。
「うわ~」
鏡に映る自分を見て驚いてしまった。
私好みの洋服に、パンプスは履き心地最高で申し分ない。
「着て帰るんで値札外してください。他の服は持って帰ります」
「かしこまりました」