鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「孝太郎さん、私…」
覚悟を決めて伝えようと思ったのに、このタイミングでまさかお腹が鳴るなんて…。
「ぐ~」
もう、穴があったら入りたい。
お腹を押さえて必死に止めようとするのに、お腹の虫は鳴り続ける。
「ぐ~」
私のお腹、なんなの!?
一体なんの恨みがあって!?
「もう少し我慢しろ。美味しいお店に連れてってやるから」
孝太郎さんは明らかに笑いを堪えながら、運転し続けている。
「笑ってくれていいですよ」
私はジト目で孝太郎さんを睨んだ。
「悪い」
そう言いながら、孝太郎さんは大爆笑している。
そこまで笑わなくてもいいのに。
ツボにはまったのか、なかなか笑いが止まりそうにない。
こんな姿、会社では絶対に見られないレア物。
タイミングは最悪だったけど、お腹の虫に少しだけ感謝した。
ムッとしていた私も、孝太郎さんの笑いに釣られていつの間にか笑ってしまっていた。