鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
目的地の美味しいお店とやらに到着して、ようやく笑いが収まった。
お店というか、この外観って…。
「孝太郎さん、ここって結婚式場ですか?」
「こっちは結婚式場で隣にレストランが併設されてる」
いつの間にかジャケットを着ている孝太郎さんに手を繋がれて、一歩一歩と中に入っていく。
神聖な場所だからか、自然と背筋がピンと伸びる。
ちょうど結婚式が行われているらしく、式場から賑やかな声が聞こえてくる。
「先月知り合いの結婚式がここであって、その時食べた料理がうまかったから、菜緒と来たいと思ってな」
「ありがとうございます」
孝太郎さんのその気持ちがなにより嬉しい。
しかも、わざわざ予約を入れてくれていたらしく、庭が一望出来る個室に通された。
フルコースのランチはどれも美味しくて、すっかりお腹は満たされた。
レストランを出たところで、結婚式場から一際大きな歓声が聞こえた。
ちょうどバルーンリリースが行われたらしく、青空にカラフルなバルーンがたくさん舞い上がっている。
「なんだか幸せをお裾分けしてもらった気分です」
空を見上げていると、至近距離に孝太郎さんの顔が近づいてくる。