鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)


「こ……んんっ」

何事かと思った瞬間、唇が塞がれた。

角度を変えて何度も甘いキスが降ってくる。

「全くお前は。可愛いこと言うな」

ようやく唇が離れた。

あまりの甘さにぐったりしてしまい、孝太郎さんにしがみついてしまった。

孝太郎さんの腕の中は私限定の場所。

力強く抱きしめられると、ますます幸せを感じる。

「孝太郎さん、ここ、外ですよ」

そういえばと、冷静に考える。

「誰も見てない」

イヤイヤイヤ、そういう問題ではなくて。

「神聖な場所ですよ」

「誓いのキスする場所だからいいだろ」

そっか。

いいのかな。

一瞬流されそうになった。

「誓いのキスは何度もしないですよ」

「本番が楽しみだな」

私の話、聞いてます?

聞いてませんね。

私の手を繋いで颯爽と歩く孝太郎さんを見上げると、なぜか嬉しそうな表情をしている。

本番って私と孝太郎さんの結婚式ってこと?

誓いのキスを何度も?

ぐったりするほど?

孝太郎さんなら、やりかねない。

想像して、思わず苦笑いしてしまった。





< 92 / 176 >

この作品をシェア

pagetop