鬼課長と鈍感女子の攻防戦(番外編追加)
「こ……んんっ」
何事かと思った瞬間、唇が塞がれた。
角度を変えて何度も甘いキスが降ってくる。
「全くお前は。可愛いこと言うな」
ようやく唇が離れた。
あまりの甘さにぐったりしてしまい、孝太郎さんにしがみついてしまった。
孝太郎さんの腕の中は私限定の場所。
力強く抱きしめられると、ますます幸せを感じる。
「孝太郎さん、ここ、外ですよ」
そういえばと、冷静に考える。
「誰も見てない」
イヤイヤイヤ、そういう問題ではなくて。
「神聖な場所ですよ」
「誓いのキスする場所だからいいだろ」
そっか。
いいのかな。
一瞬流されそうになった。
「誓いのキスは何度もしないですよ」
「本番が楽しみだな」
私の話、聞いてます?
聞いてませんね。
私の手を繋いで颯爽と歩く孝太郎さんを見上げると、なぜか嬉しそうな表情をしている。
本番って私と孝太郎さんの結婚式ってこと?
誓いのキスを何度も?
ぐったりするほど?
孝太郎さんなら、やりかねない。
想像して、思わず苦笑いしてしまった。